本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ沢渡 曜の書評ブログ

『Googleとの闘い 文化の多様性を守るために』ジャン-ノエル・ジャンヌネー著、佐々木勉訳

41cxjgh4l6l_sl500_aa240_Googleとの闘い―文化の多様性を守るために』 ジャン-ノエル・ジャンヌネー著 佐々木勉訳 岩波書店、1,680円  フランスの歴史学者にして、前フランス国立図書館長の著者ジャン-ノエル・ジャンヌネーは警告する。2004年、アメリカの世界最大のインターネット企業グーグルは世界の本を電子化し、ネット上に流通させることを計画したのだ。「グーグル・ブック・サーチ」。いくつかの出版社と大学図書館が参加し、本と画像のデータを提供した。ネットで本を読むことができるほか、著作権の関係で読めない場合は購入先や所蔵している図書館を案内するようになっている。  「ググる」という言葉が普通に使われているように検索エンジン、グーグルはネット検索にはもはや欠かすことができない。しかしグーグルも万能ではない。検索結果はコンピュータの自動制御で、すでに評価を得ているサイトから順番に並んで表示する、とされている。だがその順番に何の作為もないとは解らない。ネット情報は当然英語のものが多い。フランスの文豪ユゴーの作品を検索してもフランス語のものが一番に出てくるわけではない。何よりグーグル社は広告収入で動いている企業なのだ。検索結果の右側には商業広告がいくつも並ぶ。  著者ジャンヌネーはグーグル社の戦略をネットのグローバル化だと強く批判している。アメリカからの情報、英語のデータがヨーロッパのそれを押しのけてしまうだろうと注意を喚起する。そしてこれからはヨーロッパ各国が手を結んでヨーロッパ独自の検索エンジンを作り、自分たちの文化遺産を守ろうと訴える。このために現在フランスでは「クエロ計画」が進んでいる。フランス国立図書館には電子図書館ガリカがある。しかし、同時に紙による蔵書の保存にも力を入れてきた。この二重保存の長所をヨーロッパで生かせばネットでの動向に左右されることなく、本を保存できるだろう。  ネットも本もグローバリゼーションとは無縁ではないのだ。本という文化遺産をいかにネット上で普通の人に利用してもらい、後世に残すか。ネットは意外に狭いのかもしれない。 (掲載:『望星』2008年6月号、東海教育研究所)