本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス 著、安原 和見 訳

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銀河ヒッチハイク・ガイド
ダグラス・アダムス 著、安原 和見 訳
河出書房新社 683円

 「星図にも載っていない辺鄙な宙域のはるか奥地、銀河の西の渦状腕の地味な端っこに、なんのへんてつもない小さな黄色い太陽がある。この太陽のまわりを、 だいたい1億5千キロメートルの距離をおいて、まったくぱっとしない小さい青緑色の惑星がまわっている。この惑星に住むサルの子孫はあきれるほど遅れてい て、いまだにデジタル時計をいかした発明だと思っているほどだ。」

 伝説のSF怪作。イギリスBBCテレビのSFコメディ『宇宙船レッド・ドワーフ号』にも似たノリの壮大なハチャメチャ話。著者は『モンティ・パ イソン』にもたずさわった脚本家ダグラス・アダムス 。『銀河ヒッチハイク・ガイド』は、もとはBBCのラジオドラマとして始まった。

 アーサー・デントは、とくに取り柄も特徴もないイギリス人。ある日、友人フォード・プリーフェクトにつれられてパブでビールを飲んでいるあいだ に、銀河ハイウェイ建設のため、地球は取り壊されてしまう。宇宙の建築業者によると、通達は50年も前からアルファ・ケンタウリの出張所に貼りでていたと いう。地球で2番目に賢い生命体のイルカはとっくにそれに気づいていた。3番目の生命体である人間に警告しようとしたものの理解してもらえず、「さような ら、いままで魚をありがとう」と去っていってしまった。ただひとりの地球生命体になったアーサー・デントはフォード・プリーフェクトといっしょに銀河を ヒッチハイクしてまわる。フォード・プリーフェクトは、実はガイドブック『銀河ヒッチハイク・ガイド』の改訂版をつくるため取材中の宇宙人で、「フォー ド・プリーフェクト」という名前はフォード社の自動車の名前からとった偽名。自動車が地球の支配的種族だと思って平凡な名前にしたつもりだった。いきあたりばったりのヒッチハイクでカギを握るのは、地球で1番賢い生命体…。

 文章に笑えないギャグや皮肉がちりばめられている。寒いお笑いにいちいち腰を折られ、突っ転びそうになりながら読み通した。ちょっとつらかった。おもしろいけど寒い、寒いけどおもしろい。

 続編は
『宇宙の果てのレストラン』
『宇宙クリケット大戦争
さようなら、いままで魚をありがとう
『ほとんど無害』
となっていて、さらに作者ダグラス・アダムスの死後、ほかの作者が続編を書いている。

 私はこれを読みつづけるべきか?
 読めるんだろうか???