本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

エライ人にはわからんらしい

  佐賀県武雄市の図書館が、指定管理者をTSUTAYAが運営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」にして、市民の希望に応えて365日9時 から21時まで開館し、蔵書を20万冊増やし本を手にとって見てもらえるようにするとのこと。お店と図書館の複合施設という感じだろうか。

武雄市立図書館、ツタヤに運営委託計画 21時まで開館(佐賀新聞 2012/5/4)

武雄新図書館構想発表記者会見 (Ustream 録画日時 : 2012/05/04 11:02 JST ) 

 TSUTAYA、公立図書館運営へ 佐賀・武雄市が委託 西日本新聞  2012/5/5 00:12)

図書館をTSUTAYAのように…と市長が構想(読売新聞 2012/5/5  )

市図書館、ツタヤが運営…年中無休でカフェも(読売新聞 2012/5/5/09:18)

 

  でもなんか、どう見ても公務員のエライ人の考えることだなあ、と思えてならない。企画と施設のことについての説明が多い。図書の貸出件数で図書館 の良し悪しを決める人だ。蔦屋代官山店みたいな図書館にしたいらしいが、街の公共図書館と都会の書店とレンタルショップがひとくくりにできるわけがない。 代官山と武雄市では客層がかなり違うはず。同じような品揃えと売り方ではうまくいくわけがない。

  それに、市民の貸出希望が多かった雑誌は貸し出すんじゃなくて、同じ施設内で売る。近頃、雑誌が借りられる図書館も多いのにこれは不評だろう。図書館に来るお客は基本的に借りられるものは買わない。 

  カフェスペースをもうけて、のんびりと読書を楽しんでもらえる空間にするらしい。これだけはいいと思う。

武雄市長、会見で怒り露に「なんでこれが個人情報なんだ!」と吐き捨て (高木浩光@自宅の日記  2012/5/4)

「図書館で本を借りたらTポイント」TSUTAYAが公立図書館運営へ Facebok市長「本の貸出履歴は個人情報ではない」マイナビニュース 2012/05/05) 

 

   本の貸出履歴は個人のプライバシーで、警察にもいうべきかどうか問題になっていることも知らなかったらしい。

  なにより! 図書館は入れ物と蔵書だけじゃない。「人は城、人は石垣、人は堀」。人こそだいじ。専門書の相談にのったり子どもの相手をしたりお年寄りといっしょに本を探したりクレーマーに怒鳴られたりと、どんな場合でも柔軟に対応しなければならない。図書館にはカルチュア・コンビニエンス・クラブのスタッフが配属されるとのこと。優秀な店員が集められるんだろうか。365日9時から21時まで開館するのに、設備にお金を使ったかわり人件費は安くあげようなどとならないでほしい。