本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

2013-01-01から1年間の記事一覧

『本の未来』 富田倫生 著

『本の未来』 富田倫生 著 BinB store 無料 電子書籍が華々しく宣伝されているが、肝心の書籍の中身、紙の本から文章をパソコンや電子書籍リーダーに読み込めるようにしたテキストデータがまだ少ない。 青空文庫は著作権が切れたり著者の許諾を得た本をテキ…

『図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情』 宮田 昇 著

『図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情』宮田 昇 著みすず書房2,310円 退職後、若いころ味わった読書の楽しみを思い出し、近所の図書館に通うようになった年配者は多い。この本の著者、宮田昇氏もその一人だ。だが宮田氏はただの読書好きではない。編集…

『はだしのゲン』、松江市小中学校図書室で閲覧制限・児童生徒への貸出禁止の件について

松江市教育委員会が『はだしのゲン』を市内の全小中学校へ学校図書室で閲覧制限したのみならず貸出禁止を求め、全校がそれに応じた、と? 表現の自由、出版の自由、思想の自由を妨げる検閲だ。教育委員会とは、「教育」が名ばかりの上だけを見ている役人たち…

『歴史が後ずさりするとき 熱い戦争とメディア』ウンベルト・エーコ 著、リッカルド・アマデイ 訳

『歴史が後ずさりするとき 熱い戦争とメディア』ウンベルト・エーコ 著リッカルド・アマデイ 訳岩波書店 3,045円 哲学者、中世研究者および著書『薔薇の名前』で有名な小説家でもあるウンベルト・エーコ。この本は彼が2000年から2005年にイタリアの雑誌に連…

『書店の棚 本の気配』 佐野 衛

『書店の棚 本の気配』 佐野 衛亜紀書房 1,680円 書店に入る。目にとまった本を開いて、数行読む。頭のなかに文章が描写する風景、人物、理論が起ちあがる。本から目を離して、棚の、その本のあったあたりを見渡す。たくさんの本のタイトルが頭のなかでつな…