本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

2015-01-01から1年間の記事一覧

『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』平野義昌 著

『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』平野義昌 著苦楽堂 2,052円 2013年9月30日、神戸市にある老舗書店、海文堂書店が閉店した。99年間、地元で信頼され愛された。地元の同人誌や古書店も応援していた。全国にも海事専門書が豊富にあることで知られ…

『本屋会議』本屋会議編集部 編

『本屋会議』本屋会議編集部 編夏葉社 1,836円 本は米や魚や肉や薬と違って生活必需品ではない。確かに本が好きで読むことが好きで、本がないと死んでしまう、と言う人はいる。だが常に少数派だ。教科書や参考書のような勉強道具としての本を除くと、多くの…

『私たちは〝99%〟だ ドキュメント ウォール街を占拠せよ』『オキュパイ! ガセット』編集部 編、『オキュパイ! ガセット』編集部 編  肥田 美佐子 訳 / 湯浅 誠 解説

『私たちは〝99%〟だ ドキュメント ウォール街を占拠せよ』『オキュパイ! ガセット』編集部 編 肥田 美佐子 訳 / 湯浅 誠 解説岩波書店 2,160円 だれもが、幸せになりたい、と思っている。クビになる心配のない安定した給料がでる職場と、給料で充分確保で…

図書館法における司書の存在の耐えられない軽さ

図書館法では司書の図書館における立場があいまいである。 図書館法昭和25(1950)年4月30日法律第108号最終改正:平成23(2011)年12月14日法律第122号 法律の目的は下記の通り。 第1条 この法律は、社会教育法(昭和24年法律第207号)の精神に基き、図書設置及…

『誰だ ハックにいちゃもんつけるのは』ナット・ヘントフ 著 / 坂崎麻子 訳

『誰だ ハックにいちゃもんつけるのは』ナット・ヘントフ 著 / 坂崎麻子 訳集英社(集英社文庫コバルト・シリーズ)、1986 現代の図書館は民主主義における人間の重要な権利〈表現の自由〉と〈知る権利〉の現れとしてつくられたものだ。この本『誰だ ハック…

『華氏451度〔新訳版〕』レイ・ブラッドベリ 著 / 伊藤典夫 訳

『華氏451度〔新訳版〕』レイ・ブラッドベリ 著伊藤典夫 訳早川書房(ハヤカワ文庫SF)929円 『華氏451度』。アメリカ文学の幻想の魔術師レイ・ブラッドベリの代表作にして、現代社会に警鐘を鳴らす問題作。旧訳版より読みやすくなっている。 華氏451度は紙…

『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』 伊勢﨑賢治 著

『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』 伊勢﨑賢治 著朝日出版社1,700円 伊勢﨑賢治氏は国連PKO活動に参加し東ティモール・シエラレオネ・アフガニスタンの武装解除を手がけてきた自称「紛争屋」。現在、大学で各国の学生に「平和と紛争」学…

『鹿の王 (上)生き残った者/(下)還っていく者』 上橋 菜穂子 著

『鹿の王 上 生き残った者 / 鹿の王 下 還っていく者』上橋 菜穂子 著KADOKAWA 上下 各1,728円 『精霊の守り人』に始まる『守り人』シリーズ、『獣の奏者』など、児童書の枠に収まりきらないハイ・ファンタジーを書き、優れた子どもの本の作家に贈…

『図書室の魔法』上・下, ジョー・ウォルトン 著 / 茂木 健 訳

『図書室の魔法』上・下ジョー・ウォルトン 著 / 茂木 健 訳東京創元社(創元SF文庫) 上下巻 各929円 物語は人を自由にする。物語を読むことは自由になること。耐えられない現実の中でも本を読んでいる間は自由なのだ。 この本の舞台は1979年のイギリス。語り…