本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『父のトランク ノーベル文学賞受賞講演』オルハン・パムク著、和久井路子訳

『父のトランク―ノーベル文学賞受賞講演』 オルハン・パムク著 和久井路子訳 藤原書店、1,890円 ある日、作家オルハン・パムクの仕事場に父がやってきた。父は小さな黒いトランクを持ってきていた。父は言った。「ちょっと見てくれ」とやや恥ずかしそうに「…

『誓いの精神史 中世ヨーロッパの〈ことば〉と〈こころ〉』岩波敦子著

『誓いの精神史 中世ヨーロッパのと (講談社選書メチエ)』 岩波敦子著 講談社(講談社選書メチエ) 、1,575円 西洋世界での声に出して言う「誓い」の言葉というと、日本で一番多く目にするのはキリスト教式結婚式での新郎新婦の誓いだろう。 西洋では、伝統的…

『悪魔に魅入られた本の城』オリヴィエーロ・ディリベルト著、望月紀子訳

『悪魔に魅入られた本の城 (シリーズ愛書・探書・蔵書)』 オリヴィエーロ・ディリベルト著 望月紀子訳 晶文社、1,995円 本を手に入れるのは、実はたいへんなのだ。多種多様な書店がある東京に住んでいるのならいざしらず、ベストセラー以外の本は、地方の近…

『さよなら僕の夏』レイ・ブラッドベリ著、北山克彦訳

『さよなら僕の夏』 レイ・ブラッドベリ著 北山克彦訳 晶文社、1,680円 アメリカ文学の大御所レイ・ブラッドベリ。『華氏四五一度』など詩的な文章で書かれる作品はジャンルの枠を越える。彼は37歳のときの名作『たんぽぽのお酒』の続編を80歳代後半で書いた…