本のいぬ

本のあいだをふらふら歩く、 のらいぬ澤 一澄 (さわ いずみ)の書評ブログ

2011-01-01から1年間の記事一覧

『これが見納め 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景』ダグラス・アダムス / マーク・カーワディン 著、安原 和見 訳

『これが見納め 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景』ダグラス・アダムス / マーク・カーワディン 著安原 和見 訳みすず書房3,150円 「絶滅危惧種をとりまく状況は最初から、身もふたもなく絶望的」。 銀河をヒッチハイクしてまわる異星人と最後の地球人の…

『乾燥標本収蔵1号室 大英自然史博物館 迷宮への招待』リチャード・フォーティ 著、渡辺 政隆/野中 香方子 訳

『乾燥標本収蔵1号室 大英自然史博物館 迷宮への招待』リチャード・フォーティ 著渡辺 政隆 / 野中 香方子 訳NHK出版2,625円 自然史博物館に行ったことがある人は多くても、その裏側へ入った人は少ないだろう。そこは迷宮で、たくさんの謎の物体と、それを…

『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス 著、安原 和見 訳

『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス 著、安原 和見 訳河出書房新社 683円 「星図にも載っていない辺鄙な宙域のはるか奥地、銀河の西の渦状腕の地味な端っこに、なんのへんてつもない小さな黄色い太陽がある。この太陽のまわりを、 だいたい1億5…

『王のパティシエ ストレールが語るお菓子の歴史』ピエール・リエナール/フランソワ・デュトワ/クレール・オーゲル 著、大森由紀子 監修、塩谷祐人 訳

『王のパティシエ ストレールが語るお菓子の歴史』ピエール・リエナール/フランソワ・デュトワ/クレール・オーゲル 著大森由紀子 監修、塩谷祐人 訳 白水社 2,310円 美食家というのは、おいしいものを食べて育った人が多いような気がする。この本の語り手…

『電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命』津野 海太郎 著

『電子本をバカにするなかれ 書物史の第三の革命』津野 海太郎 著国書刊行会1,890円 今の子どもや若者は本を読まなくなった、という。たいがいの町には書店も図書館もある。インターネットで注文することもできる。だが出版社や書店の売り上げは下がり続け…

『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』サーシャ・スタニシチ 著、浅井 晶子 訳

『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』サーシャ・スタニシチ 著浅井 晶子 訳白水社2,835円 1991年から2000年まで続いたのユーゴスラヴィア紛争。そのなかのボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争。著者、サーシャ・スタニシチは当時ボスニア・ヘルツェゴヴ…

『エル・ネグロと僕 剥製にされたある男の物語』フランク・ヴェスターマン 著、下村 由一 訳

『エル・ネグロと僕 剥製にされたある男の物語』フランク・ヴェスターマン 著下村 由一 訳大月書店2,520円 オランダのフリージャーナリスト、フランク・ヴェスターマンは1983年当時大学生。スペインを旅行していた。が、カタロニア地方の博物館であるものを…

『バウドリーノ』上・下、ウンベルト・エーコ 著、堤 康徳 訳

『バウドリーノ』上・下ウンベルト・エーコ 著堤 康徳 訳岩波書店各巻1,995円 小説『薔薇の名前』で世に名を知らしめた記号学者、小説家ウンベルト・エーコの邦訳最新小説。中世ヨーロッパを舞台に史実と幻想が踊る冒険物語。かんたんに言ってしまえばホラ話…

アーシュラ・K・ル=グィンさんからのメッセージ

アメリカの作家、偉大なる「西の善き魔女」アーシュラ・K・ル=グィンさんが、『なつかしく謎めいて』、『ギフト』『ヴォイス』『パワー』(『西のはての年代記3部作』)、『ラウィーニア』の日本語訳者、谷垣暁美さんのお願いに応えて、「日本の読者へのメ…

『私のフォト・ジャーナリズム 戦争から人間へ』長倉洋海 著

『私のフォト・ジャーナリズム 戦争から人間へ』 長倉洋海 著 平凡社 945円 フォト・ジャーナリスト長倉洋海氏の写真は人々の笑顔であふれている。世界各国の戦火や貧困に苦しむ人々も笑顔なのだ。なぜ長倉氏は苦しんでいる人の笑顔を撮ることができるのか…