2010-01-01から1年間の記事一覧
『隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民 (ちくま文庫)』 上橋菜穂子 著 筑摩書房 735円 オーストラリア先住民族、アボリジニ(英語で「原住民」という意味)と呼ばれる人々は、現在オーストラリア人口の2パーセントだけだ。かつて600以上の地域集団と200以…
「電子書籍元年」と言われたのは今年で3度目らしい。昔のワープロソフトには電子ブックリーダーがついていたのもあったし。 すでに学術分野はオンラインジャーナルで英文論文を読むのが常識。いまさら電子書籍元年もない。だが一般書それも小説で電子書籍に…
『寡黙なる巨人 (集英社文庫)』 多田富雄著 集英社 単行本 1,575円 今年4月、免疫学の権威、多田富雄氏が前立腺がんで亡くなった。享年76歳。 実は多田氏は前に1回「死んで」いる。2001年、脳梗塞で倒れたのだ。死の国を数日さまよったあげく、目を覚ました…
『巡礼コメディ旅日記――僕のサンティアゴ巡礼の道』 ハーペイ・カーケリング 著 猪俣和夫 訳 みすず書房 2,730円 ハーペイ・カーケリングはドイツのコメディアン。40代も近づき、病気もするようになってきた。そのときふと思ったのは「神様っているのかな」…
『カントリー・オブ・マイ・スカル―南アフリカ真実和解委員会“虹の国”の苦悩』 アンキー・クロッホ著 山下渉登 訳、峯 陽一 解説 現代企画室、2,940円 2010年のサッカーワールドカップが南アフリカで開催されたなんて、20年ほど前だったら想像できなかっただ…
『「死の舞踏」への旅―踊る骸骨たちをたずねて』 小池寿子著 中央公論社 2,310円 生きていれば死は日常。滅びは生活の一部。この忘れがちだがあたりまえなことを、人々が常に考えていた時代がヨーロッパにあった。「メメント・モリ(死を思え)」の言葉とと…
『ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)』 伊藤 計劃 著 早川書房 1,680円 伊藤計劃(いとう けいかく)はSF作家としてわずか1年半ほどしか生きなかった。1974年に生まれ2009年に34歳で肺がんのため亡くなった。残した長編小説は『虐殺器官』(早…
『戦禍のアフガニスタンを犬と歩く』 ローリー・スチュワート著 高月園子訳 白水社 2,940円 「なぜアフガニスタンを歩いて横断したのかと訊かれても、あまりうまく説明できない。たぶん、それが冒険だから、というのが理由だろう。」とこの本の著者スコット…
『夜』 エリ・ヴィーゼル著 村上光彦訳 みすず書房 2,940円 ナチス・ドイツによるユダヤ人、ロマほかの絶滅のための強制・絶滅収容所、アウシュヴィッツ収容所。ポーランドのオシフィエンチムにかつてあった。数あるナチス・ドイツの収容所のなかでも人類の…
『本は読めないものだから心配するな』 管 啓次郎著 左右社 1,890円 「本は読めないものだから心配するな。」 この本を読め、この本はこう読め、成功する読書のすすめなどと、読書をしていかに得をするかというような本ばかり出まわるなかで、こう言われると…
『パリ 地下都市の歴史』 ギュンター・リアー / オリヴィエ・ファイ著 古川まり訳 東洋書林 3,990円 「花の都」と枕詞がつく都市パリ。2,500年もの歴史のあるパリは名所がたくさん。誰もが一度は訪れたいと思う街だ。しかし、その地下には知られていない世…
『よみがえれ!夢の国アイスランド―世界を救うアイデアがここから生まれる (地球の未来を考える)』 アンドリ・S・マグナソン著 森内 薫訳 NHK出版 1,785円 2008年の金融破綻で初めてアイスランドを知った人もいるだろう。 アイスランドは北大西洋に浮かぶ小さ…